「広告代理店はいらない」と検索したあなたへ。広告代理店の私が本音で答えます!
自社サイトのアクセス解析を眺めていたところ、ふと目に留まった検索クエリがありました。

「広告代理店 いらない」
広告代理業を生業としている私としては少しドキッとする言葉ですが、その気持ちはよく分かります。むしろ、広告に携わる担当者であれば、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。今回は、この検索キーワードをきっかけに、「広告代理店との上手な付き合い方」と、「本当に広告代理店は不要なのか」というテーマについて、私なりの考えを書いてみます。
結論:スキルとマインドが高い担当者がいるなら「いらない」
私の基本的な考えは、とてもシンプルです。
中小企業が目指すべき理想は、最終的に広告運用を内製化すること。そう考えています。
なぜなら、社内に広告の知識と実行力を持った担当者が育てば、代理店へ支払う手数料を広告費やクリエイティブ制作へ再投資できます。
さらに、広告運用のノウハウや改善の知見が会社の資産として蓄積されます。自社の商品やサービスを最も理解しているのは、自社の社員です。社内で運用できれば、意思決定も早く、伝えたいことも正確に反映できます。
つまり、スキルとマインドの両方を備えた広告担当者がいるのであれば、広告代理店は必須ではありません。
先ほども申しました通り、最終的にすべてを内製化し、コストをかけずに自社内に「知識・知見」という資産を残す。これが一番の理想形です。
●最初の半年〜1年は広告代理店を「学びの場」として使う。
では、最初からすべて自社だけで運用すればいいのかというと、それは少し違います。
私がおすすめしたいのは、最初の半年〜1年程度は、代理店をパートナーとして活用し、知識や考え方を吸収する期間にすることです。
例えば、
- 広告媒体ごとのアルゴリズムや仕様変更への対応
- 成果につながるクリエイティブの考え方
- データ分析から改善までの思考プロセス
- トラブル発生時の対応方法
こうした実践的なノウハウは、独学だけで身につけるには時間がかかります。
だからこそ、代理店へ依頼する期間は単なる「外注」ではなく、「自社にノウハウを蓄積するための投資期間」と考えるのが理想です。
●一番危険なのは「手数料がもったいないから内製化しよう」という発想
ここで注意していただきたいことがあります。
それは、「代理店手数料を削減したい」という理由だけで内製化を進めることです。
現場を経験していない経営層ほど、「広告なんて管理画面で設定すれば配信できるでしょ」と考えてしまうことがあります。しかし、実際にはそう簡単ではありません。
最大のコストは「機会損失」
我々プロが広告運用をしても成果の安定まで時間がかかります。広告運用を手探りで始めれば、成果が安定するまで数か月かかることも珍しくありません。その間、本来獲得できたはずの問い合わせや売上を失ってしまう可能性があります。間違ったまま継続していることもあるかもしれません。これは手数料以上に大きな損失につながります。
トラブル対応にも経験が必要
広告アカウントの停止や計測タグの不具合など、突然のトラブルは決して珍しくありません。こうした問題に迅速に対応できることも、代理店が持つ大きな価値の一つです。普段は見えませんが、この「見えない品質管理」が広告成果を支えています。
中途半端な知識は危険
広告は、一部だけ理解していてもうまくいきません。全体設計を理解しないまま運用すると、広告費を無駄にするだけでなく、ブランドイメージを損ねてしまうリスクもあります。目に見える代理店手数料だけを削減し、目に見えない大きなリスクを抱えてしまっては、本末転倒です。
●内製化で本当に大切なのは「人への投資」
「広告代理店はいらない」という考え方の本質は、自社で広告をコントロールできる組織をつくりたい、ということだと思います。
その考え方自体には、私も賛成です。ただ実現には、時間がかかるものです。
- 熱意のある担当者を配置すること
- (できれば)代理店を教育・伴走パートナーとして活用すること
- 半年~1年程度かけて段階的に内製化すること
条件が整わないと上手くいくものいかないですし、このような条件が整わないと広告代理店を入れたとしても成果にはつながらないです。
なにより、忘れてはいけないのが、担当者の努力です。広告運用を内製化する担当者は、日々学び続け、試行錯誤を繰り返しながら会社の資産を作っています。しかし、その努力は成果が数字になるまで見えにくく、社内評価にも反映されにくいという現実があります。だからこそ、会社としては「コスト削減」だけを見るのではなく、「広告運用という資産を育てる人材への評価制度」まで含めて考えていただきたいと思います。
私は広告代理店の人間ですが、「広告代理店をずっと使い続けること」が正解だとは思っていません。何度も言いますが、本当に理想なのは「自社で広告を運用できる力を身につける」ことです。ただし、それは決して一朝一夕で実現できるものではありません。
「代理店に丸投げする。」
「いきなり完全内製化する。」
そのどちらでもなく、
「必要な期間はプロの力を借りながら学び、最終的には自社の力へ変えていく。」
それが、これからの時代に最も強い広告運用の形ではないかと思います。
広告代理店はいらない、ことはないと思うけど卒業できる会社は強い。と思います。

