5年の時を超えて想定外のご連絡

先日、ふと確認したスマホの画面に懐かしい名前が表示されました。淡路電気工事さんからの連絡でした。一瞬、目を疑いましたが、間違いありません。5年前に関わったクライアントからの突然の連絡に、胸が躍りました。
思い返せば5年前、前職時代に手がけた70周年記念テレビCMの制作。コンセプトの立案、絵コンテ制作、撮影ロケーション選び、スタッフの手配、そして実際の撮影と編集作業。限られた予算の中ではありましたが、譲れないこだわりを持って取り組んだプロジェクトでした。クライアントの想いを形にするため、制作チームにも無理をしていただきましたが良いものができたと自負していました。
あの時のご縁が、まさか独立後に再び繋がるとは思ってもみませんでした。
「サイネージ動画を作ってほしい」という依頼の内容を聞いて、一瞬戸惑いました。本来なら前職の会社に話が行ってもおかしくない案件です。名の通っている広告代理店である前職には、優秀な営業がたくさんいますし、会社としての信頼度も段違いです。
でも淡路電気工事さんは、名刺アプリで私の独立を知り、わざわざ私個人に声をかけてくださったのです。「あのとき良いものを作っていただいたので、再度お願いしたい」という言葉をいただき、5年の歳月を超えた信頼関係が感じられました。しかし、この文章を書いていて自分で恥ずかしくなりますね…。
しかし、その選択に込められた気遣いに、胸が熱くなりました。独立したことへのお祝いもくださいました。自分の仕事が、大手広告代理店という会社の看板ではなく、「私」という一人の人間に対する信頼で選ばれたことの喜び。まさに広告屋冥利につきる瞬間でした。
この業界で15年以上働いてきましたが、こういった形での再会は独立後、初めての経験です。独立してフリーランスになると、大手企業の案件にはなかなか関われなくなるというのはよくあること。それでも、個人と個人のつながりが、会社の壁を超えて仕事に結びつくことがある。そんな素晴らしい例を身をもって体験できたことに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
「もったいない」と思うほどの優しさを感じます。前職の会社であれば、組織力や実績を活かした提案ができるはずです。それでも私を選んでくださった。そんな優しさこそが、ビジネスの世界でも、長く続く関係の礎なのかもしれません。
ひとつひとつの仕事に真摯に向き合うことで、時に思わぬ形で恩返しがやってきます。目の前のプロジェクトだけでなく、その先にある可能性も大切にする。そんな当たり前だけど忘れがちなことを教えてくれた、ありがたい再会でした。
この経験を胸に、これからも一つ一つの出会いを大切にしながら、広告屋として歩んでいきたいと思いました。